1995〜2000年の金価格と世界経済/アジア通貨危機、ロシアの財政危機、LTCMの破綻...

アジア通貨危機@

アメリカで吸収しきれなかった
短期の余剰資金は、

 

タイのようなアジアを中心とする
発展途上国※に流れ込みました。

 

※当時はまだ新興国とは呼ばれていませんでした。

アジア通貨危機A

しかしながら、短期マネーというのは
次々に返済期限が訪れますから、

 

資金計画に狂いが生じたまま
返済期限が訪れて、

 

返済も借り換えもできない場合には
破綻に追い込まれることになります。

 

この状況が
まさにアジアで発生したのです。

 

そうなりますと、
海外の資金は一気に逃げ出し、
その国の通貨が大暴落して通貨危機が起こるわけですが、

 

1997年7月、
タイの通貨であるバーツでこの大暴落が起きました。

 

そして、これは東アジアに波及し、
タイ、インドネシア、韓国に深刻な経済危機を与え、
最終的にはIMFの管理下に入ることとなったのです。

 

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ロシアの財政危機

また、ロシアも
輸出の大部分を天然資源に頼っていましたから、

 

世界的なデフレの影響で財政が逼迫し、
アジア通貨危機の影響をまともに被ってしまい、
デフォルト(債務不履行)に陥りました。

 

するとルーブルが大暴落して、
ロシア財政危機が起こったのです。

LTCMの破綻

ロシアのデフォルト(債務不履行)は、
ヘッジファンドのLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)※
を行き詰らせました。

 

LTCMには、
欧米の金融機関が巨額の資金を託していましたが、

 

それとともに、
LTCMもどきのミラーファンドも数多く組成されていました。

 

なので、LTCMの破綻は、
金融機関に深刻な影響を与えることとなりました。

 

※LTCMは、世界の頭脳を集めたまさに金融界のドリームチームが運用していたヘッジファンドです。

LTCM破綻への対応策は?

当時のニューヨーク連邦準備銀行の
ウィリアム・マクドナー総裁は、

 

LTCMに資金提供していた主要銀行に
融資を実行させて、
破綻ではなく解体の道を歩ませることにしましたが、

 

それと同時に、
FRBのグリーンスパン議長は、
FFレート誘導目標を引き下げて
金融不安を沈静化させました。

 

こうした不意の出来事はありましたが、
外貨準備として大量の金(ゴールド)を保有する
各国の中央銀行の間では、

 

金(ゴールド)よりも
金利を生む株式などの有価証券に投資すべきである
という認識が高まっていたようです。

 

事実、ユーロ導入への参加予定国の中央銀行が、
「債務残高をGDP比60%以下に抑える※」
という条件を満たすため、
保有する金(ゴールド)の売却を始めました。

 

さらに、ユーロ参加国以外の国も売却し始めたことから、
中央銀行が金(ゴールド)を見放した
というサインと受け止められました。

 

※ユーロに参加するためにはクリアしなければならない
 経済財政基準の1つです。

 

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