米ドルと金にはどのような歴史があるの?@
■ブレトン・ウッズ協定(1944年)
・為替相場の安定化を図るため、金1トロイオンス=35ドル
で交換できることが定められると同時に、各国の通貨には
米ドルに対する一定の交換レートが定められました。
・これにより、米ドルは国際通貨としての
地位を確立します。
・なお、日本円と米ドルとの交換レートは、
1ドル=360円と定められました。
米ドルと金にはどのような歴史があるの?A
■ニクソン・ショック(1971年8月)
・米国のニクソン大統領が、固定レートによる
米ドルと金(ゴールド)との交換を停止すると宣言しました。
・これがいわゆるニクソン・ショックであり、
これにより米国が金本位制を放棄すると同時に、
戦後のブレトン・ウッズ体制が崩壊することとなりました。
■スミソニアン合意(1971年12月)
・米ドルの切り下げと各国通貨の切り上げが実施され、
日本円の新たな為替レートは1ドル=380円に設定、
「金」は1トロイオンス=38ドルとなりました。
■為替相場の変動相場制への移行(1973年)
・変動相場制というのは、外国為替市場の需給次第で、
為替レートを自由に変動させることができる仕組みのことをいいます。
・主要国の為替相場は、それ以前の
固定相場制から変動相場制に移行しました。
・日本は1973年2月から、欧州は3月から
変動相場制が施行されました。
■キングストン会議(1976年)
・ジャマイカのキングストンでIMF委員会が開催され、
変動相場制が正式に承認されると同時に、
「金」の廃貨も決まりました。
■日本の金取引自由化(1978年)
■「金」の国際価格が最高値を記録(1980年1月)
次のような歴史的な有事が
短期間のうちに相次いで勃発したことから、
「有事の金」の本領が発揮され、
金価格はおよそ2年で4倍以上に急騰しました。
・1979年のイラン革命(親米路線であったイランのパーレビ国王が追放され、
反米路線を歩んできたホメイニ師が実権を掌握)
・第二次オイルショック(イラン革命による原油価格の高騰)
・旧ソ連のアフガニスタン侵攻
なお、短期急騰の反動もあり、
その後は20年にわたる長期下降トレンドに入ることになりました。
米ドルと金にはどのような歴史があるの?B
■東京に公設金先物市場
(現東京工業品取引所)が誕生(1982年)
■プラザ合意(1985年)
・G5(米国、日本、旧西ドイツ、イギリス、フランス)で、
為替レートをドル安に進めることで合意しました。
・プラザ合意以降は、主要通貨に対するドルの価値は
急速に目減りしていきました。
・この合意から10年にわたり、急激な
円高・ドル安が進むことになります。
■インドの金自由化開始(1990年4月)
・自由化により、インドの金取引は4倍に拡大しました。
■ドル/円が最高値を更新(1995年4月)
・プラザ合意以降、為替市場では円高・米ドル安が加速し、
1ドル=80円割れと、円が対米ドルで最高値を記録しました。
■ユーロの誕生(1999年1月)
・欧州統一通貨であるユーロが誕生し、米ドルと並ぶ
国際通貨として期待を集めました。
・ヨーロッパという巨大な経済圏をカバーする通貨が
創設されたことにより、国際通貨・基軸通貨としての
米ドルの地位が相対的に低下することとなりました。
■金に関するワシントン協定(1999年9月)
・ECB(欧州中央銀行)と欧州の各国中央銀行14行が
「金に関するワシントン協定」を発表しました。
・この協定の主たる内容は、「金」を今後も世界各国の
重要な資産として位置づけたうえで、
向う5年間の金売却を制限する※ものでした。
・日本や米国、IMFなどもこの協定に同意しています。
・この結果、全世界の公的保有金のおよそ90%が
この売却制限に含まれることとなったことから、
この協定は5年後に見直されることになりました。
※年間売却量は400トン以下、5年間の合計で2000トンを超えない
■米国同時多発テロ(2001年)
・この事件によって「有事の金」が復活し、
それ以降のイラク戦争、イランや北朝鮮の核開発疑念にも
金価格は反応するようになりました。
■中国の金取引自由化(2002年10月)
・上海金取引所で金取引が開始され、これ以後、
中国国内で金取引の自由化が進んでいます。
■金ETF上場(2003年3月)
・世界で初めてオーストラリアに金ETFが上場されました。
・その後、金ETFは欧米の主要証券取引所にも上場され、
年金基金を中心とする欧米の機関投資家の長期運用を
前提とした資金が金市場にも流入するようになりました。
■第二次ワシントン協定(2004年)
・世界各国・中央銀行の新たな金売却制限は、
年間500トン以下、5年間で2500トンを超えないというものでしたが、
この売却量の上方修正は予想の範囲内であったことから、
金市場への影響はほとんどないといった状況でした。
■日本に金ETF市場創設(2007年8月)
・大阪証券取引所に金ETFが上場され、
国内にも金ETFが登場しました。
■金の国際価格が最高値を更新(2008年1月)
・ニューヨークの金先物価格がおよそ28年ぶりに
史上最高値を更新しました。
・これは、1999年7月の底値から、およそ7年半で
金国際価格はおよそ4倍まで上昇したことになります。