1995〜2000年の金価格と世界経済/欧州通貨危機、メキシコ危機...

欧州通貨危機の原因は?@

ECU(エキュ)が導入されていた
1979年3月から1998年12月までというのは、

 

イギリスの経済は不調でありながら、
ポンドは割高な水準でした。

欧州通貨危機の原因は?A

有力ヘッジファンドを率いるジョージ・ソロスは、
そこを突きました。

 

1992年8月、
ソロスはポンドを大量に売りました。

 

イングランド銀行(イギリスの中央銀行)は
これを買い支えようとしましたが、
結局ソロスに敗れることとなりました。

 

これにより、ポンドは
ERM(欧州為替相場メカニズム)離脱に追い込まれ、
この離脱によりEMSが大混乱し、
欧州で通貨危機が起こりました。

欧州通貨危機での金価格は?

欧州通貨危機では、
金(ゴールド)の出番となるはず、

 

すなわち、通貨システムの混乱は
金価格の上昇要因となるはずだったのですが、

 

実際には
金価格はこれに反応しませんでした。

 

これは、
ドルが基軸通貨としての
絶対的な地位を確立していたことから、

 

ドル以外の通貨(ポンド、マルク、スイスフランなど)は、
ローカル通貨が売られたくらいにしか
市場が認識しなかったからです。

 

スポンサーリンク

「有事の金」が機能しない?

湾岸戦争でも欧州の通貨危機でも
金価格が反応しなかったことから、

 

投資家の間では「有事の金」ではなく、
有事にはドルを買うべきだという心理が働くようになりました。

 

ちなみに、
この頃から「有事のドル」という表現が目立ち始め、
投資家の関心は金(ゴールド)から離れていくようになりました。

メキシコ危機とは?

1994年12月、
貿易赤字の拡大により過大評価されていた
メキシコの通貨であるペソが暴落する
「メキシコ危機」が起こりました。

 

これがアメリカの金融機関まで波及して
ドルの信用が揺らぐのではないかと想定されましたが、

 

当時のロバート・ルービン財務長官が、
IMFなどと連携して巨額の緊急融資を行ったことから、
危機はメキシコ国内の問題にとどまりました。

 

そして、
このメキシコ通貨危機を乗り切ったルービン財務長官は、
世界に向けて
「強いドルはアメリカの国益にかなう」
と宣言したのです。

 

ちなみに、このメッセージでは、
ドルを持っていれば得をするけれど、
他国通貨を持っていても損をするだけであり、
アメリカ企業の株や債券を買えば儲かる、

 

つまり、
アメリカに投資すれば儲かる
ということを言っているのです。

 

スポンサーリンク