1980年代の金価格と世界経済/カーター・ポンドとは?

カーター・ポンドとは?@

1970年代のアメリカというのは、
輸入増によって
経常収支の赤字(貿易赤字)が膨らみ、

 

ドルの信用が揺らいで
売られやすくなっていました。

カーター・ポンドとは?A

そのような中、1978年11月に、
カーター大統領はドルを支える
「ドル防衛」を宣言し、市場介入を行いました。

 

とはいえ、ドルを買うためには、
ユーロに統合される前の
西ドイツのマルクなど
相手通貨を売らなければなりません。

 

ところが、このときのアメリカは、
他国通貨をほとんど保有していませんでした。

 

これは、
アメリカが基軸通貨発行国であったことから、
貿易の支払いも
自国通貨で行えばよかったからです。

 

そこで、
介入資金を調達するために、
西ドイツでマルク建ての
アメリカ国債を発行したのです。

 

これが
「カーター・ポンド」
と呼ばれるものです。

 

こうして為替介入が功を奏してドル高となり、
このときは金価格もこれにつられて上昇しました。

 

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実質的な金価格は2800ドル?

ニューヨーク先物市場で875ドルを付けた
1980年の金価格の暴騰というのは、

 

インフレや政治的緊張という
特殊な状況が重なったことで起きたものといえます。

 

もちろん、
こうした状況というのは
そうあることではありませので、

 

バブルが弾けた後は
1年半でおよそ3分の1の水準である
295ドルまで急落してしまいました。

 

そして、金価格が、2008年1月に
再び最高値を更新するまでには、
実に28年もの歳月がかかることになるのです。

 

ちなみに、
28年間の物価上昇を考慮した
実質的な金価格というのは、
2300ドル程度になるといわれていますので、

 

現在の1000ドル台という金価格は、
理論的には、まだまだ安い水準にある
といえるのかもしれません。

 

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