1990〜1995年の金価格と世界経済/ディスインフレ状態・湾岸戦争時の金価格...

平和の配当とは?@

1990年代に入り開花した
インターネットをはじめとするIT関連技術は、
アメリカが主導権を握りましたが、

 

これは、「平和の配当※」が
予想以上にアメリカに利益をもたらした好例といえます。

 

※平和がもたらしたプラス効果のことをいいます。

平和の配当とは?A

また、
インターネットのWebサイトの情報は
英語で記載されていますので、

 

英語圏以外の人々は、
インターネットから情報を得るためには、
母国語に加えて、英語を学ぶ必要がありました。

 

それがまた、
英語の情報発信を増加させるきっかけとなり、
情報とともに
アメリカ文化も外国に浸透していったのです。

 

そして、アメリカでは
こうした独り勝ちの状況が高まり、

 

世界が好景気にわく中において、
物価がほとんど上昇せず、

 

むしろ低下傾向を強める
ディスインフレ状態に陥っていきました。

 

ちなみに、
消費者物価指数を見ますと、

 

アメリカをはじめイギリスもドイツも日本も、
近年では1991年頃を頭打ちとして
なだらかな下降曲線を描いていることがわかります。

 

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ディスインフレ状態での金価格は?

ディスインフレ状態の中ですと、
金価格チャートは上値を抑えられてしまいますので、

 

価格がもちあい状態※から下げ基調という
切り下げパターンを描くようになりました。

 

※価格が一定の上値と下値の間で
 上下する状態のことをいいます。

湾岸戦争の勃発

1990年8月、
イラクによるクウェート侵攻が起こりました。

 

これは、
当時のイラクのサダム・フセイン大統領が

 

クウェートを自国領土にすることを主張したことに対して、
国際社会が国連での非難決議を採択し、

 

1991年1月に
アメリカを主力とする
多国籍軍を派兵することとなったもので、
これが湾岸戦争の勃発です。

 

この様子は、生放送で
CNN(アメリカの報道機関)が世界中に伝えましたが、

 

このとき、IT技術の発達によって、
視聴者はテレビを通じて、
ライブで戦争を見るという体験をしたのです。

湾岸戦争時の金価格は?

湾岸戦争にアメリカが
直接派兵を決定したことが材料となり、
金価格は一時的に上昇しました。

 

当初、金市場関係者の間では
「有事の金」としての働きが期待されていましたが、
実際に戦争に突入すると
金価格は下落していきました。

 

戦争中にもかかわらず
金価格が下落したことで、
「有事の金」が機能しなくなったと言われるようになりましたが、

 

これは、
世界の政治構造が変わり、
湾岸戦争も単なる地域戦争にすぎない
と受け止められたことによるようです。

 

つまり、ロシアにしても
市場経済に組み込まれてしまった以上、

 

湾岸戦争に参戦しても得るものはないですし、
イラクのクウェート侵攻とそれに続く湾岸戦争にしても、
第3次世界大戦に発展することはないと
市場が読んだことから
金(ゴールド)が買われなかったといえそうです。

 

なお、
金(ゴールド)は有事に即反応するのではなく、
有事により波及するであろう
「世界的な混乱の度合い」
に応じて
反応するものであるということを頭に入れておきたいです。

 

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